日本の人工衛星は何個あるのかを調べると、百数十機、二百機以上、あるいは過去に打ち上げたものを含めて数百機など、異なる数字が見つかることがあります。
数字が一致しないのは誤りとは限らず、現在機能している衛星だけを数えるのか、役目を終えても軌道上に残っている衛星を含めるのか、日本政府が運用する衛星だけを見るのか、大学や民間企業の小型衛星まで含めるのかによって結果が大きく変わるためです。
2026年6月28日時点のCelesTrakの衛星カタログでは、日本に分類されるペイロードは軌道上に235機あり、そのうちアクティブと判定されているものは140機ですが、このアクティブには通常運用中の衛星だけでなく、待機中、予備、部分運用、延長ミッションなども含まれます。
ここでは、日本の人工衛星の個数を数えるときの基準を最初に整理したうえで、気象、測位、通信、災害対応、環境観測、宇宙科学、安全保障、産業といった代表的な役割を具体例とともに紹介し、単なる機数では見えにくい日本の宇宙利用の全体像を読み取れるようにします。
日本の人工衛星は何個ある

日本の人工衛星の数を一つの数字で示すなら、2026年6月28日時点では、軌道上に残っている日本分類のペイロードが235機、アクティブと判定されているものが140機というCelesTrakの集計が有力な目安になります。
ただし、ここでいう日本分類は、政府が現在運用している大型衛星だけを指すものではなく、企業、大学、研究機関などが保有する小型衛星や、部分的に機能している衛星、予備状態の衛星などを含むカタログ上の区分です。
したがって、質問への簡潔な答えは「軌道上には約二百数十機あり、アクティブなものは約百四十機だが、数え方によって変わる」となり、数字を見る際には集計日と対象範囲を必ず確認する必要があります。
2026年の目安
CelesTrakのSATCAT Boxscoreによると、2026年6月28日時点で日本を示すJPNに分類されたペイロードは、軌道上に235機、すでに大気圏へ再突入したものが140機、これまでに登録された累計が375機となっています。
そのうちアクティブと判定されているペイロードは140機であり、現在の日本の人工衛星数を生活や産業に使われている衛星の規模として知りたい場合は、この数字が比較的近い目安になります。
| 数え方 | 2026年6月28日時点 | 意味 |
|---|---|---|
| 軌道上のペイロード | 235機 | 機能停止機を含む |
| アクティブ | 140機 | 運用・待機・予備など |
| 再突入済み | 140機 | 軌道上には存在しない |
| 累計ペイロード | 375機 | 過去の登録総数 |
ここでいうペイロードは、目的を持って宇宙へ投入された衛星本体などを指し、ロケットの上段や衛星から分離した部品、破砕によって生じた破片とは区別されているため、宇宙にある日本由来の人工物すべてを数えた数字ではありません。
また、衛星は新たに打ち上げられる一方で運用を終了したり大気圏へ再突入したりするため、235機や140機という数字は固定値ではなく、記事や資料を読む日によって変化するスナップショットとして扱うことが大切です。
アクティブは140機
CelesTrakでアクティブとされる日本のペイロードは140機ですが、この数字をそのまま「正常にサービスを提供している衛星が140機」と読み替えることはできません。
CelesTrakの運用状態の説明では、アクティブに含まれるのは通常運用中だけでなく、部分運用、バックアップ、予備、完全稼働前、延長ミッションの状態にある衛星であり、衛星の電波や電力が常時確認できることを必須条件としていません。
例えば、観測装置の一部が使えなくても別の装置で任務を続けている衛星、後継機に主役を譲って緊急時の予備として保持されている衛星、当初の計画期間を超えて追加観測を続ける科学衛星なども、広い意味でアクティブに分類される可能性があります。
反対に、地球の周囲を飛び続けていても通信が途絶え、観測や通信などの目的を果たしていない衛星は、軌道上の235機には含まれてもアクティブ140機には含まれないため、両者には95機の差があります。
天気予報、スマートフォンの位置情報、防災観測などに実際に貢献している衛星だけを知りたい場合は、アクティブ総数からさらに運用主体と任務を確認する必要があり、政府機関がまとめた単一の公開一覧だけで全機を把握するのは容易ではありません。
軌道上には235機
軌道上の235機という数字には、現在活躍している衛星に加えて、すでに任務を終えたものの地球の周囲を回り続けている衛星も含まれています。
高度が低い衛星はわずかに残る大気の抵抗によって徐々に高度が下がり、最終的に大気圏へ再突入することがありますが、高い軌道に投入された衛星や面積に比べて質量が大きい衛星は、運用終了後も長期間軌道上に残る場合があります。
静止衛星では、燃料が残っているうちに通常の静止軌道から離れた墓場軌道へ移す方法が一般的であり、移動後は通信や気象観測などのサービスを行わなくても、宇宙物体として追跡対象に残ります。
低軌道の衛星についても、任務終了後すぐに消えるわけではなく、自然落下まで時間を要する場合や、推進機能を用いて再突入時期を早める場合があるため、軌道上の機数と利用可能な機数は一致しません。
日本の人工衛星は何個あるのかという疑問に対して235機と答える場合は、「現在軌道上にある日本分類のペイロード」という条件を添え、すべてが動いているわけではないことまで説明すると誤解を避けられます。
集計による違い
人工衛星のデータベースによって日本の機数が違う主な理由は、データの更新時刻、国や所有者の分類方法、軌道情報を取得できる衛星の範囲、運用状態を判定する基準が統一されていないためです。
例えば、N2YOの国別集計では2026年6月29日時点の日本の衛星が224機と表示されており、同時期のCelesTrakの軌道上ペイロード235機とは差があります。
- 集計データの更新時刻が違う
- 軌道要素が公開された物体だけを扱う
- 共同開発衛星の国分類が異なる
- 探査機や実験機の扱いが異なる
- 機能停止の判定時期が異なる
日本の企業が所有していても海外法人や国際機関の区分に入る衛星がある一方、日本で製造された衛星でも海外の組織が所有していれば日本分類に入らない場合があり、製造国、所有国、登録国、運用国は必ずしも同じではありません。
比較するときは数字の大小だけを見るのではなく、同じデータベースの同じ項目を同じ日付で比べることが重要であり、異なる資料の数字をつなぎ合わせて増減を判断すると、実際には定義の違いを変化と誤認するおそれがあります。
人工衛星と宇宙物体
人工衛星という言葉は日常的には地球を周回して働く機械を指しますが、宇宙関連のカタログではペイロード、ロケットボディ、デブリ、探査機などが別々の種類として管理されています。
ロケットは衛星を目的の軌道へ運んだ後、上段部分がそのまま軌道上に残る場合があり、衛星から外れたカバーや部品、事故や破砕で生じた破片などとともに人工的な宇宙物体として追跡されます。
CelesTrakの2026年6月28日時点の集計では、日本分類のデブリは軌道上に89個あり、ペイロード235機と合わせた全物体は324個ですが、これを「日本の人工衛星が324機ある」と表現するのは適切ではありません。
人工衛星の機数を知りたい場合はペイロード欄を使い、宇宙空間に残る日本由来の物体による混雑や衝突リスクまで知りたい場合は、ロケットや破片を含む全物体の欄を見るという使い分けが必要です。
国連宇宙部の宇宙物体登録は打上げ国が登録した物体を確認する重要な資料ですが、登録制度上の打上げ国と衛星の所有者区分が一致しない場合もあるため、運用数を知る目的では軌道カタログと組み合わせて読むことが適しています。
国と民間の違い
日本の人工衛星はJAXAだけが運用しているわけではなく、内閣府、気象庁、内閣官房、防衛省などの政府機関、放送・通信事業者、宇宙ベンチャー、大学、高等専門学校、研究機関など多様な主体が関わっています。
政府系では、気象衛星の「ひまわり」、準天頂衛星システムの「みちびき」、地球観測衛星の「だいち」シリーズ、温室効果ガスを調べる「いぶき」シリーズ、情報収集衛星、防衛通信衛星などが代表例です。
民間では、テレビ放送や企業通信を支える静止通信衛星に加え、合成開口レーダで地表を観測する小型衛星、光学カメラで地球を撮影する衛星、宇宙ごみへの接近や除去技術を試す衛星などが増えています。
大学や高等専門学校の超小型衛星は、観測装置や通信技術の実証、学生の設計・運用教育、宇宙環境の測定などに使われ、1機の規模は小さくても人材育成や新技術の実績づくりという重要な役割を持ちます。
政府衛星だけを数えた数字と、日本の組織が所有する民間・大学衛星まで含めたカタログの数字には大きな差が生じるため、「日本が持つ衛星」と「日本政府が運用する衛星」を区別することが正確な理解につながります。
数字の読み方
衛星数を確認するときに最初に見るべき項目は、基準日、対象となる国区分、軌道上か累計か、アクティブか全ペイロードかという四つです。
「日本はこれまでに何機打ち上げたか」を知りたい場合は累計値が必要ですが、日本のロケットが海外衛星を打ち上げたケースや、日本の衛星が海外のロケットで打ち上げられたケースがあるため、打上げ回数や日本製衛星数とは一致しません。
「現在使える衛星は何機か」を知りたい場合はアクティブ数が近いものの、予備衛星や部分運用中の衛星を含むことがあり、個別サービスの提供状況まで判断するには各運用機関の発表を確認する必要があります。
「宇宙に残っている日本の衛星は何機か」を知りたい場合は軌道上のペイロード数が適していますが、そこには任務を終えた衛星が含まれるため、産業規模や技術力を直接表す指標にはなりません。
2026年6月時点の目安としては、軌道上235機、アクティブ140機、累計375機という三つの数字を目的に応じて使い分けると、日本の人工衛星の現状を過不足なく説明できます。
暮らしを支える衛星の役割

人工衛星は遠い宇宙にある研究機器という印象を持たれがちですが、日本では天気予報、位置情報、テレビ放送、航空・船舶の運航、災害情報など、日常生活を維持する基盤として利用されています。
衛星の役割は搭載する機器と飛行する軌道によって異なり、広い地域を常に見続ける静止衛星、地表へ比較的近い場所から細かく観測する低軌道衛星、日本付近に長く見えるよう工夫された準天頂軌道衛星などが使い分けられています。
JAXAの衛星分類でも、地球観測、通信・放送、測位などが代表的な目的として示されており、複数の衛星と地上設備を組み合わせることで安定したサービスが実現しています。
気象監視
日本の暮らしに最も身近な人工衛星の一つが、赤道上空約3万5800キロメートルの静止軌道から東アジアや西太平洋を観測する気象衛星「ひまわり」です。
気象庁が説明する気象衛星の役割によると、ひまわり8号と9号は衛星から見える地球全体を10分ごとに観測しながら、日本域や台風などの特定領域を2.5分ごとに観測できます。
- 台風の位置や発達を監視
- 積乱雲や前線の変化を把握
- 海面水温や海氷を観測
- 火山灰や黄砂の分布を確認
- 船舶や離島の観測データを中継
衛星画像だけで雨量を直接すべて測定できるわけではありませんが、雲の高さ、温度、水蒸気の分布、動きなどを連続的に把握し、レーダー、アメダス、気象観測船、数値予報モデルの情報と組み合わせることで予報や警報の精度向上に役立ちます。
地上の観測点が少ない海上でも広域を同じ方法で見られるため、日本へ近づく台風を早期から追跡できるだけでなく、航空機や船舶の安全運航、東アジア・オセアニア各国の防災にも貢献しています。
測位支援
準天頂衛星システム「みちびき」は、米国のGPSなどと組み合わせて、スマートフォン、カーナビ、測量機器、農業機械、建設機械、ドローンなどの位置情報を安定させる日本の衛星測位システムです。
高層ビルや山に囲まれた場所では低い角度に見える衛星の電波が遮られやすいため、みちびきは日本付近の空の高い位置に長時間見える軌道を利用し、受信できる測位信号を増やします。
| 利用場面 | 衛星測位の役割 |
|---|---|
| スマートフォン | 現在地や経路を表示 |
| 自動車 | 走行支援や車両管理 |
| 農業 | 自動走行や作業記録 |
| 建設 | 機械制御や測量 |
| 防災 | 安否情報や避難支援 |
みちびきの7機体制に関する内閣府の説明では、日本上空に常に4機以上のみちびきが見える体制を整えることで、ほかの測位衛星に依存しない持続測位を可能にする方針が示されています。
2026年6月時点では7号機の打上げ前であり、7機体制は完成していないため、現在の利用ではGPSなどとの併用が基本ですが、補強信号や災害時のメッセージ配信を含めて日本の測位基盤を強くする役割が期待されています。
通信中継
通信衛星は、地上局から受け取った電波を別の地域へ送り返す中継局として働き、テレビ放送、企業ネットワーク、航空機や船舶の通信、災害時の回線確保などを支えます。
静止通信衛星は地上からほぼ同じ位置に見えるため、地上アンテナを頻繁に動かさず広い地域と通信でき、日本列島だけでなく海上や離島を一つのサービス範囲に収めやすいことが利点です。
一方で、静止軌道は地上から約3万6000キロメートル離れているため信号の往復に時間がかかり、低遅延が求められる用途では多数の低軌道衛星を連携させる通信方式も選択肢になります。
地震、豪雨、津波などで地上の基地局や光回線が被災した場合、衛星回線は地上設備の損傷地域を越えて通信経路を作れるため、自治体、消防、警察、自衛隊、報道機関、インフラ事業者の情報共有に利用されます。
衛星だけで通信が完結するわけではなく、衛星本体、管制局、送受信アンテナ、利用者端末、地上ネットワークが一体となって機能するため、バックアップ設備や複数衛星による冗長化もサービスを止めないための重要な要素です。
災害や環境を見守る仕組み

日本は地震、火山、台風、豪雨、洪水、土砂災害などが多く、広い範囲を繰り返し観測できる人工衛星は、地上調査や航空機による調査を補う重要な情報源になっています。
衛星観測は現地へ人が入れない状況でも利用でき、被災前後の画像を比較して地盤の変化や浸水域を調べるほか、森林、海洋、温室効果ガス、水循環などを長期的に監視することもできます。
ただし、衛星画像は取得すれば直ちに被害の全容が判明するものではなく、観測時刻、雲の有無、センサーの種類、画像処理、現地情報との照合によって得られる情報が変わります。
災害観測
先進レーダ衛星「だいち4号」は、電波を地表へ照射して反射を測るLバンド合成開口レーダを搭載し、夜間や雲に覆われた状況でも地表を観測できることが大きな特徴です。
JAXAのだいち4号の紹介では、地殻変動、防災、森林、農業、海洋などが主な利用分野として示され、光データ中継衛星を介して観測データを迅速に送る仕組みも採用されています。
| 災害・課題 | 確認できる情報の例 |
|---|---|
| 地震 | 地殻変動や地表変化 |
| 洪水 | 浸水した可能性のある範囲 |
| 土砂災害 | 斜面崩壊や地形変化 |
| 火山 | 地表変動や噴火後の変化 |
| 地盤沈下 | 広域の微小な変位 |
レーダ衛星は同じ地域を異なる時期に観測したデータの位相差を分析することで、人の目だけでは捉えにくい地表の変位を広域に調べられ、地震後の地殻変動や平常時の地盤沈下の把握に役立ちます。
一方で、衛星が対象地域の上空を通過する時刻まで観測できない場合があり、被害状況の判断には航空写真、ドローン、地上センサー、住民からの通報なども必要なため、衛星は複数の調査手段を結び付ける基盤として使われます。
気候観測
気候変動を把握するには、気温だけでなく、大気中の二酸化炭素やメタン、海面水温、降水、土壌水分、海氷、積雪、植生などを長期間にわたって同じ基準で観測する必要があります。
日本の「いぶき」シリーズは温室効果ガスの濃度や吸収・排出の状況を宇宙から調べ、「いぶきGW」は温室効果ガス観測に加えて水循環変動の観測も担っています。
- 二酸化炭素の濃度分布
- メタンの濃度分布
- 海面水温
- 海氷や積雪
- 土壌水分
- 水蒸気や降水に関わる情報
JAXAのいぶきGWの説明では、気象予測への利用、水産分野への海面水温情報の提供、海氷情報を使った船舶の安全運航や航路選択への貢献が主な目的として挙げられています。
一回の観測だけでは季節変化や一時的な気象現象と長期的な気候変動を区別しにくいため、後継衛星を含めて観測を継続し、地上観測や航空機観測、海外衛星のデータと比較しながら精度を保つことが重要です。
農林水産
人工衛星の地球観測データは研究者や行政機関だけが利用するものではなく、農地の管理、森林監視、漁場情報、海氷情報などを通じて農林水産業にも活用されています。
農業では、光学画像やレーダ画像から作物の生育状況、水田の利用状況、土壌の水分、災害による農地被害などを広域に把握し、現地調査が必要な場所を絞り込む用途があります。
森林分野では、同じ地域を繰り返し観測することで伐採や火災、森林面積の変化を調べられ、海外の熱帯林を含む広大な地域の監視や温室効果ガス吸収量の推定に役立ちます。
水産分野では、海面水温、海流、海色などの情報から魚が集まりやすい海域を推定する材料が得られ、漁船が探索する範囲を効率化したり、養殖場周辺の海況変化を把握したりするサービスにつながります。
ただし、衛星データから得られるのは直接的な収穫量や漁獲量の保証ではなく、現地の気象、地形、品種、海流、過去の実績などと組み合わせて判断するための情報であり、利用者が扱いやすい地図や予測情報へ加工する事業者の役割も大きくなっています。
科学・安全保障・産業の広がり

日本の人工衛星は生活インフラを支えるだけでなく、宇宙の成り立ちを探る科学研究、外交や防衛に必要な情報収集、安全な通信、民間企業による新しいデータサービスにも使われています。
同じ地球観測技術でも、学術研究、災害対応、インフラ管理、安全保障、商業サービスでは必要な撮影頻度や分解能、データ提供までの速さが異なるため、目的に応じた衛星や運用体制が作られます。
近年は大型衛星を長期間使う方法に加えて、比較的小さな衛星を複数配置し、同じ地点を短い間隔で観測する衛星コンステレーションの開発が日本企業でも進んでいます。
宇宙科学
宇宙科学衛星は、地上では大気に吸収されて観測しにくいX線や紫外線を測定したり、地球周辺の磁気圏や太陽を観測したりして、宇宙の物理現象を研究する役割を持ちます。
日本のX線分光撮像衛星XRISMは、高温プラズマから届くX線を精密に測定し、銀河、銀河団、超新星残骸、ブラックホール周辺などで物質やエネルギーがどのように動くかを調べています。
- XRISMによるX線天文学
- ひのでによる太陽観測
- あらせによる磁気圏観測
- 海外機関との共同観測
- 将来探査へつながる技術実証
JAXA宇宙科学研究所のXRISM紹介によると、広い視野を持つX線撮像器と極低温のX線分光器を使い、プラズマに含まれる元素や運動速度を高い精度で測定します。
科学衛星の成果は日々の生活へすぐ現れるとは限りませんが、検出器、冷却装置、姿勢制御、通信、データ解析などの技術を発展させ、国際共同研究を通じて日本の研究力や次世代の宇宙開発を支える役割があります。
安全保障
人工衛星は国境や海域を越えて広い地域を観測し、遠隔地とも通信できるため、外交・防衛上の情勢把握、大規模災害への対応、自衛隊の通信などにも利用されています。
内閣衛星情報センターは、外交・防衛などの安全保障と大規模災害などの危機管理に必要な情報を収集するため、情報収集衛星システムの開発・運用、画像情報の収集・分析を行っています。
| 衛星の種類 | 主な役割 |
|---|---|
| 情報収集衛星 | 画像収集と情勢判断 |
| 防衛通信衛星 | 部隊間の通信中継 |
| 測位衛星 | 位置・時刻情報の確保 |
| 地球観測衛星 | 災害や海洋の状況把握 |
| 宇宙監視設備 | 衛星やデブリの監視 |
防衛省のXバンド衛星通信整備事業では、「きらめき」シリーズによって地上、艦艇、航空機などの通信を中継し、広い地域で安定した防衛通信を確保する体制が整えられています。
安全保障衛星には性能や運用状況が公開されない部分も多いため、一般向けの公開情報だけで正確な運用機数や能力を確定することは難しく、公開カタログの数字には推定や不明な状態が含まれ得ることを理解しておく必要があります。
民間小型衛星
日本の人工衛星数が増える要因の一つが、企業や大学による小型衛星の打上げであり、従来の大型衛星より短い期間と比較的小さな費用で開発しやすいことから、新しい技術や事業を試す手段として利用されています。
日本企業では、合成開口レーダを搭載して夜間や悪天候でも地表を観測する衛星、光学カメラで都市や農地を撮影する衛星、船舶やIoT端末の信号を受ける衛星など、複数機を連携させる計画が進められています。
1機だけでは同じ地域を再び撮影するまで時間がかかりますが、同じ機能を持つ衛星を異なる位置に配置すれば観測間隔を短縮でき、災害直後の状況把握、インフラの変化検知、海洋監視など時間の価値が高い用途に対応しやすくなります。
小型衛星はすべてが長期間の商業運用に成功するわけではなく、打上げ後の通信確立、電力確保、姿勢制御、センサーの性能、地上処理、顧客獲得まで多くの課題があるため、打上げ機数だけで事業の成熟度を判断することはできません。
今後は衛星を製造して販売するだけでなく、画像から道路の損傷や土地の変化を抽出して提供するサービス、衛星の運用を代行するサービス、軌道上の安全を支援するサービスなど、データと地上側の技術を組み合わせた産業が重要になります。
日本の衛星数は定義と役割をセットで捉える
日本の人工衛星は何個あるのかという問いには、2026年6月28日時点のCelesTrakを基準にすると、軌道上の日本分類ペイロードが235機、そのうちアクティブが140機、過去に登録された累計が375機という答えを示せますが、対象範囲や集計方法によって数字は変わります。
軌道上の235機には役目を終えた衛星が含まれ、アクティブ140機にも予備、待機、部分運用、延長ミッションなどが含まれるため、日常的なサービスを提供している衛星が一律に140機あるという意味ではありません。
日本の衛星は、ひまわりによる気象監視、みちびきによる測位支援、通信衛星による放送や回線確保、だいちシリーズによる災害観測、いぶきシリーズによる気候監視、科学衛星による宇宙研究、情報収集衛星や防衛通信衛星による安全保障など、それぞれ異なる役割を担っています。
衛星数を比較するときは基準日、国分類、軌道上か累計か、アクティブか全機かを確認し、機数の多さだけでなく、どの衛星が何を観測し、そのデータが地上でどのように利用されているかまで見ることで、日本の人工衛星が社会を支える仕組みを正確に捉えられます。


